夜にひしぐは神おろし

お芝居とか映画とか好きなものの話を諸々。自分のためのささやかな記録。

『メタルマクベス Disc2』 IHIステージアラウンド東京、初日

『メタルマクベス Disc2』初日、行ってきました。ネタバレしない程度の観劇記録を残しておきます。メタルマクベスそのものについての内容は、Disc1初日のブログを見てもらえるとざっくりわかると思います。

yahishigi.hatenablog.jp

シリーズ通してピック型キーホルダーを集めるのが楽しみ。テーマカラーはDisc1が青、Disc2はピンクです。Disc3は緑になるはず。

Disc2のピンクのピックキーホルダーも買いました

メタマクDisc2前夜の情緒

まず、ネタバレの心配ゼロのところから… とっても情緒不安定だった自分の話をしますね…。

Disc1のときに、橋本さとしさんが「Disc1はドロドロ、Disc2はギラギラ、Disc3はキラキラ」とおっしゃっていたけれど、正直Disc1が終わった前後にはランディ橋本/マクベス橋本しか愛せる気がしなかった。何より馬木也グレコが好きすぎて何度も情緒的に死んでは生き返ったりを繰り返していた。

図解すると下の図のような感じ。まぁとにかく情緒がジェットコースター。Disc2開幕直前までべそべそとマクベス橋本のことばかり考えていたのに、急激に魔Ⅱ夜づいてV字回復。しかし、実際に観たらどんな感じになるのか、一切見当もつかなかった。

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初日の観劇後、実際どうなったか

どうなったっていうか、どうなったんでしょうね??? 下の図のとおりです。ちょっとわけがわからない。衝撃的な場面が多すぎて、感情が乱高下しすぎて、意味がわかんない!! 誰か助けて!! となっている。

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いい意味でも、悪い意味でも、とにかく混乱中。脳内でいろんなことが審議中。私以外にも混乱のさなかにいる人たちをたくさん見かけるので、この混乱はきっと私だけのものじゃない(笑)。

ざっくり感想

まずいちばん言いたいことは、

櫻子夫人/櫻子ローズの放つエネルギーがめちゃくちゃエモい…。

櫻子ちゃんを舞台で観るのはじめてなのだけど、なんていうか、尖ったエネルギーがすごい。テクニックがすごいとか安定感があるとか、そういうことじゃなくて、なんていうか爆発的なバイブレーションを持ってるね、あの子。めちゃくちゃ揺さぶられる。

Disc1、あんなに毎度毎度感動しておきながら、夫婦のシーンで泣いたことがほとんどなかったんだけど、魔Ⅱ夜ランディと櫻子夫人のシーンで自分でもびっくりするくらいボロボロ泣いてしまって、でもその涙はその前のシーンからすでにはじまってたから、これは完全に櫻子ちゃん由来の涙だってわかってしまった。人間のエモーションを浴びたときに流れる種類の涙だったのだけど、これは自分でもびっくりした。

ランディ魔Ⅱ夜/マクベス魔Ⅱ夜は、自分の好き嫌いがどう出るかドキドキしながら観ていたのだけど、魔Ⅱ夜、すごくちゃんとランディだった。あーなるほど、こういうランディね、はいはい。わかりました。私わかりました。そして魔Ⅱ夜のランディ、顔の圧がすごい。イヨッ、音羽屋。会場でも実際、御贔屓筋とおぼしき辺りから、大向こう的なかけ声が聞こえたねぇ。ヘドバンが連獅子のリズムに見えるのがまた趣深い。

何より、ランディ魔Ⅱ夜と櫻子夫人、マクベス魔Ⅱ夜と櫻子ローズ、この2人の関係性がメタルマクベスの戯曲とガッチリ手を取り合って、なにかとんでもなく現代的な「どうしようもなさ」みたいなものを醸し出している。Disc1ではもっと寓話的な「どうしようもなさ」だったものが、Disc2でぐっと現代のリアルみたいなものに近付いている感がするというか。

そういう意味では、初演の「どうしようもなさ」もDisc2のそれに近いのかも? Disc1がシェイクスピアに寄ったのだという考え方ができそう。テクニカルな部分も物語の部分もクラシックな「戯曲」の文脈だったのがDisc1、なのかな。

Disc2は初日を観る限りでは結構破綻も多いし、舞台としてのバランスは圧倒的にDisc1の貫禄に追いついていないなって思うのだけれど、舞台の魅力ってひとつの軸だけで語れるものじゃないのがおもしろいよね。Disc2はDisc2でDisc2にしかない物語と文脈がある… 尊い…。

などと失礼なことをつぶやいていますが、本当にそう思うの。シェイクスピアもすごいなって思うし、クドカンもすごい。人間って賢かろうがバカだろうが、本質的に踏み外すところと踏み外し方は一緒なんだなって思うと、なんだかとても愛おしい。

とにかく違うのがおもしろい!!

髑髏城と違って、戯曲そのものは書き換えないという話だったので、どんなふうな演出になるのかな? とドキドキしていたけど、やっぱりとっても違うのがおもしろい。

わりと細かいところを観るオタク目線でいうと、かなりいろんなところが変わっていたなって思うのだけれど、オタク的でない目線で見たときにどのくらい変わって見えるのかな? というのは実はわからないな〜、なんて思ったりもする。

私の感覚でも、もっと変えてほしかったなって箇所はあったり、今後うまく整合性取ってってほしいなって思う点がいくつかあったりするので、とにかく公演中にどんどんアップデートされていくのでしょう! そこにはとっても期待してます!

自分の観劇スタイルとしては、そうして変わっていくカンパニーを見守るのも楽しみのひとつなので、また新しい演目がはじまったのは素直にうれしいな。Disc2、怪我なく事故なく(自主規制)なく、最後までがんばってください♡♡♡

行こうかどうしようかなんとなく迷っている人へ

最後、思い出したことがあるので追記します。迷っている理由がもし「メタル苦手…」という理由なら、ちょっと聞いてほしい。もしかしてそれは食わず嫌い以前の話かもしれないから。

聞いてほしいことは以上です。ご清聴ありがとうございました。

『メタルマクベス Disc1』 IHIステージアラウンド東京、千穐楽

初日を観たあとに観劇記録を書いたメタルマクベス Disc1、今日が千穐楽でした。興奮と勢いに任せて、ネタバレも自分なりの解釈も両方ありの観劇記録を残しておきます。

ちなみに新感線千穐楽恒例の煎餅撒きですが、今回はスタッフさんのポカとのことで、RSシリーズのスペルがRXになってました。ある意味レア。

RSシリーズではおなじみのカーテンコール後のミニライブも、ばっちりありました。大好きな山口馬木也さんがグレコ衣装でマクダフの「リンスはお湯に溶かして使え」を歌ってくれるという幸福… 染みました。

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はぁ… Disc1、好きだったな…。ライブビューイングを含めて数回(片手を往復すれば足りるくらい)だけ観たのですが、終わってしまうのが本当に惜しい。Disc2、Disc3と控えているとはいえ、Disc1好きだった。主演のマクベス役の橋本さとしさんがカテコでおっしゃった「Disc1はドロドロ、Disc2はギラギラ、Disc3はキラキラ」というのを信ずるのであれば、私の好みは間違いなくDisc1…。

ここから先は、今思うこと、書いておきたいことなどをつらつらと。

魔女の予言の内容とはなんだったのか

魔女の予言と実際のできごとの整合性について考えていて、いまいちピンと来てないことがあったのだけれど、千穐楽だしひと区切りつけようかなと。

破滅に必要な要素を持つ人間が全員同じ血族である可能性

帝王切開グレコがランディの破滅に必要な要素だったとして、あとは「荒ぶる狼の子孫が剣で空を切り裂く」「陸の鯨が目を覚ます」みたいな感じだったと思うんだけど、それを踏まえて、やっぱりグレコは王族であるレスポールやジュニアと同じ血族なんだろうなって思った。

そもそも、レスポールの一族そのものがグレコの城のある辺りからやってきた一群なのではないかな。ESP軍が新興勢力であること、ランディがグレコに向かって「おまえの一族の血を吸いすぎた」みたいな感じのことを言うところ、などなど、細かいことがなんとなくそれを示唆してる。グレコレスポールを「一族の命の源泉」と形容したこともそうだ。

ESP軍は新興勢力として少数の血族が関東にやってきて、戦により土地を奪取し、レスポール大量破壊兵器のある場所に鋼鉄城を建てる判断をしたことによって、そこが根城になったのではないか、というのを関東におけるESP軍の歴史解釈としておきたい。

ESP軍は戦の中で外様を獲得して大きくなったという仮説

戦いに向かう将軍たちとは違い、グレコはなぜ城の中で忠臣として教育係をやっているのか? というのも、同じ血を引く一族であることで説明がつく。ランダムスターは忠実な部下ではあるが、戦を通じてESP軍に加わった外様なのではないか。パール国王と幼馴染であることから、フェルナンデス地方の出身なのかもしれないし。少なくとも血族ではないのだ(血はつながっていないと明言するシーンがある)。

だからこそランダムスターは、魔女の予言に目がくらみ、王殺しの悲劇に手を染める。ESP軍を家族同然と言いながら、本当に愛する家族である妻ランダムスター夫人の言うことのみを心の頼りにし、ついには彼女の望みを実行してしまうのだ。

つまり予言を現実にするのはレスポールの一族

予言の内容に戻ると、「荒ぶる狼の子孫が剣で空を切り裂く」を実行するのはジュニアだ。スヌーピーの刻印のある短剣をブレーカーに突き刺し、そのことによって舞台上をまっぷたつにするような激しい電流が走る。つまりジュニアは狼の子孫、レスポールも狼の子孫。そして同じ一族として、女の股から生まれてこなかったグレコがランディに引導を渡すことになる。

え… なんかそれエモくないですか…? この解釈が合ってるかどうかは知りません。でも、そう考えるとめちゃくちゃエモくないですか…?

腹を破って出てきたことにより、グレコの母親は死んだのかもしれないし、同族としてレスポールの間近で育てられたのかもしれないな、という説もふんわり妄想しておきたい。

圧倒的に2幕が好きだった

私、何かを失った人間を観るのが好きなんです。だから圧倒的に2幕のランダムスター夫妻が好きなわけ。ビジュアルだけで言えば、落ちぶれたマクベスがグレーのスウェット着たローズと一緒にいるシーンがいちばん好きなんですよね… あれは完全に性癖…

初演とDisc1での狂気の違い

お芝居としては、夫婦の寝室で自ら犯した悪事に心乱される2人のシーンがかなり好き。初演の松たか子マクベス夫人は、常に狂気のまま躁と鬱のジェットコースターを行き来するような虚ろな目が哀しかったが、Disc1の濱田めぐみマクベス夫人は正気と狂気のまだらボケみたいな状態がゾッとする。しかも正気に見えるときは常に何かに怯え続けている。あんな状態で一瞬でも正気に戻るなんて残酷…。

しかも2幕の鋼鉄城の寝室にはベッドに黄色のシーツがかかるようになって、高貴さをあらわすオレンジゴールドのベッドの上に横たわる妻に、裏切りと狂気の黄色の布をかけるランダムスター。なんなの、なんなのよ、つらすぎるでしょ。なんで黄色のシーツなんて使ってるのよ…。

ランダムスターは妻の狂気を知りつつ、自分の狂気をも抱えている。その事実が胸を締め付けてくる…。狂気を煮詰めたような夫婦の寝室が好き…。

ベッドサイドの薔薇の意味

ちょっと1幕のメイプル城の寝室に戻ってみると、ベッドサイドに薔薇が飾ってあるのが好きなんだよね。たぶん本数は4本だったと思うのね(思い違いだったらすみません)。赤い薔薇の花言葉は「あなたを愛している」、4本の意味は「死ぬまで気持ちは変わらない」。ちょっとおおおお、もし美術さんが意図的にそうしたのだとしたら、なんて仕込みをおおおお! 細かすぎるでしょおおおお!! うおおおおお!!

そして鋼鉄城には、薔薇を飾る者もいない。それが悲しい。

すべてを失ったランディ

そんな死ぬまで妻ラブなランディが妻を失ったあとのシーンも大好物…。音楽は偉大だ嫌なことを忘れる、と言っていたランディが、最大風速の悲しみに襲われてるとき、はっとしたように転がるギターを見つけるんだよ…。そして悲しみを嚙み殺すようにギターを抱えて、「かなりつらい」って歌うんだよ…。つらいでしょ…。ギター以外に縋るものがないんだよ…ランディ…ああランディ…。

あとはパール王を斬った後、スクリーンが閉まる直前のランディの顔がしんどい。なんて顔をするんだよ、としか言いようのない顔を。するんだ。ランディが。ううう。

妻を失ったとき、友を失ったとき、どちらも個人的には大楽より前楽の表現のほうが好きでした。本当、なんて顔をするんだよ…って愕然としてしまった。

クドカン脚本が持つ日本語コンテキストの妙

ランダムスターが妻を失ったときの「かなりつらい」というフレーズを聞くと、いつもクドカンの文法・クドカンの言葉遣いについて思いを馳せてしまう。

このシーン、戯曲や文芸だと、いかにも詩的で大仰になりがちなところだ。トップオブエモーションみたいなところ。それを現代のざっくりした言語感覚で置き換えると、めちゃくちゃ安物のマーガリンみたいな口当たりになる。それを絶妙な塩加減で仕上げることができるのだ、クドカンは。そういう空気感が、クドカン脚本の魅力なんだと思う。

安物のマーガリンみたいな口当たりの日本語、それっていい悪いの問題ではない。日本語の言語としての曖昧さが、そのポテンシャルを一気に押し上げている瞬間を、現代というコンテキストの中で目撃しているということなのだ。クドカンの文法を楽しむということは、日本語のポテンシャルが斜め上に火を吹くコンテキストを楽しむということにほかならない。感覚の妙を愛でる領域。

これはねー、松尾スズキ御大にも同じことを感じるよねー。だから大人計画の作家が好きなんだと思う。

言いたいことはまだまだあれど

キリがないのでこのへんにしておこうかなー。小ネタの話とかはじまると止まらないんだけど、しおりさんが小ネタの備忘録をまとめているので、興味のある方はそちらをご覧になってみるといいかもしれません。

 

shioring78.hatenablog.com

 

はー、それにしてもさー、Disc2、Disc3も脚本は同じらしいけど、演出が同じだとは誰も言ってないよね? ね? 結構違う可能性あるよね?? ね?? Disc2も今のところ初日に行く予定なので、楽しみです。

改めて振り返ってみると、本当にステアラの構造を活かした演出をメタマクでやるって、すごいことだったんだなと実感しています。はー。髑髏城花鳥風月極もすごかったけど、何かひとつ超えた感あるよね。いのうえさんが劇場のキャパシティを掴んだのかな。役者さんのキャパシティは微妙に超えてそうだけどね! それでも身体を劇場に合わせてくる名優たちのレジリエンス!! しびれる!!! 大好き!!!!

俺たちはステアラに抱かれた世代。ステアラが回っている今を生きた者たちは、老いも若きも等しく、ジェネレーション・ステアラなんだと思う。それがどんな無茶苦茶な抱かれ方だったとしても、俺たちはジェネレーション・ステアラ。

そのことを、未来で自慢しような。

 

『メタルマクベス Disc1』 IHIステージアラウンド東京、初日

『メタルマクベス Disc1』通称「メタマク」で知られる公演の初日に行ってきました。ネタバレしない程度の観劇記録を残しておきます。

5月までは『髑髏城の七人』というお芝居を回していたIHIステージアラウンド東京。回す、というのは比喩でもなんでもなく、客席が360度回転する新劇場なのです。2017年の3月に『髑髏城の七人 Season花』でこけら落とし、それから2018年の5月まで、髑髏城シリーズ花鳥風月極と回ってきて、はじめて違う演目に切り替わったのがメタマクでした。

ステアラで食べられるアイス最中

ステアラ名物アイス最中も、メタマクDisc1限定味にリニューアル。今日はチョコミント味をいただきました。暑くて、受け取ったそばから溶けちゃう…。

メタマクDisc1って、ざっくり、こんなお芝居

シェイクスピアの『マクベス』の世界観は変えずに、2206年の廃退した近未来と、空前のバンドブームに沸いた1980年代の日本を二重の構造に置き換えるという大胆なアレンジによって創り上げられた脚本は、近未来と過去を行き来しながら劇中をかき乱し、ゆるい台詞に油断している間に核心に引き込まれるという宮藤官九郎独特のうねりを、ハードロックとヘヴィメタルの楽曲で煽りまくり、怒涛のごとく突き進む物語は客席を圧倒し、前代未聞のシェイクスピア作品として大きな話題となった。

この『メタルマクベス』が、初演から12年の時を経て、激しいリズムに突き上げられて瓦礫の中から復活する。宮藤自ら脚本を書き直し、キャストを変え、演出にアレンジを加えて、disc1、disc2、disc3と題して3作を連続上演。

公演内容:メタルマクベス disc1|TBSテレビ:IHI STAGE AROUND TOKYO 

内容やあらすじをちゃんと知りたい人は、公式サイトの方へどうぞ。

ざっくり感想

実は私、内野聖陽さん&松たか子さんの初演がものすごい好きで、初演が好きすぎるがために今回のアレンジを愛せるか不安… と思っていたのでした。

…が、杞憂でした。

メタマクよかったーーー!!

メタマクよかったーーーー!!!

うわーーーマジで期待以上だったよぉ最高だったよぉ!!

メタルマクベス disc1 大好きでーーーーす!!!

とにかくすごかったのが、セットと演出。ステアラのポテンシャルを活かしきったうえで、しかも弱点を補ってさえいる。場面の切り替えが計算し尽くされたセットの配置、高さを出した縦移動のある動線から生まれる芝居空間の立体感、追加のスピーカーを仕込むことによる音響の弱点補強。

その結果、スクリーンをフルに使った効果に没入させられたし、傾斜の少ない座席からでも見やすい目線の高さで芝居をしてくれてたし、舞台と距離のある後列でも全体観を楽しむという満足度が得られるし、確実に知見を盛り込んできている感がすごい。

花からずっと通っているファンだからこそわかるメタマクセットのすごさ、というのがあるけれど、これからはじめてステアラでお芝居を観ますっていう人は、そんなことは考えずにただ楽しんでほしいなって思う。ただ、本当にすごくなったよね…? という気持ちを、回る城に通い続けた戦友たちとは分かち合いたいなって思うのです。いやー、超えてきたね。すごいね。

キャストもすばらしくて、橋本さとしさんのランダムスター、あんなに好みなビジュアルだったなんて思ってなかったという反省点があります。っていうか、写真を観ても全然ピンと来てなかったっていうか… そんなだったのに、動くランダムスターを観たら、めちゃくちゃ好きだった… 。

あと、グレコというキャラがすごく好きなんですけど、今回は山口馬木也さんが演じてます。馬木也さんがかなり好きなので、もともと楽しみにはしていたんですけど、正直、山口馬木也さんのグレコ3000万点です…。キャスティングしてくれた人本当にありがとうございます。馬木也さんのグレコだけで元が取れる…。

あと、地味に原慎一郎さんに心を持っていかれています… 。アンサンブル的な立ち位置で、いろいろなシーンに出てくるんですけど、出すぎだろっていうくらい出ずっぱりで、原慎さんに目を持っていかれるせいで見逃した他の方の芝居がいっぱいあるはず…。

あ、ひとつだけ注意点が。二幕の最後のほうで、ものすごい勢いで光が明滅フラッシュする箇所があります。いわゆるポリゴンフラッシュってやつ。そういうのが苦手な体質の人は、かなり気をつけておいたほうがいいと思います。メタルなので大音量を心配する人が多いみたいですけど、気になるのは音より光です。

ざっくりまとめ

初日だったわけですが、カーテンコールが閉まってからダメ押しでもう一度開く、というのを(ステアラでは)はじめて観ましたね。一度目のカテコが終わる前から立ち上がっているお客さんもたくさんいて。もちろん、期待して詰めかけたファンが多い日なので、ファンならではのテンションということもあるのでしょうが、初日なのにまるで千穐楽かというくらいノリノリのカーテンコールでした。

でも、そのくらい衝撃がありましたね、メタマク初日。初日で4時間弱の上演時間、これからどう調整して、どんな味わいに仕上がっていくのか楽しみです。

まだまだ書き足りないけれども、ネタバレせずに書ける感想には限りがありますし、これで見納めるわけではないので、今回はこのへんでおしまい。

私の次回観劇は、4日後ーーー! 早くもう一度観たーーーい!!

『ニンゲン御破算』Bunkamuraシアターコクーン

ニンゲン御破算、東京公演初日に行ってきました。ネタバレしない程度の観劇記録を残しておきます。

松尾スズキ氏のお芝居観るの久しぶりで(2007年版のキャバレー以来)、ちょっとそわそわしながら、この日を待っていたんですよね〜。本当、奇跡的に先行抽選当たってよかった…。そうじゃなかったら取れる気が(気力的にも)しなかったものね…。

ニンゲン御破算って、ざっくり、こんなお芝居

勘三郎さんに書き下ろした戯曲を「御破算」にし、今考えられる最高の俳優の布陣でリスタート。
それはそれでも、ええじゃないか。
幕末の混乱のどさくさに、斬って斬って歌い踊って、なだれ打って明治にたどりつく、怒涛の大河ドラマ
エンタテインメントとはなんぞやという問いに、わたくし、松尾が出し続けた答えの最終形態、それが「ニンゲン御破算」だ!
松尾スズキ

ニンゲン御破算| 大人計画 OFFICIAL WEBSITE より

内容やあらすじをちゃんと知りたい人には、Bunkamuraの特集ページがまとまってるし詳しいので手っ取り早くておすすめです。

www.bunkamura.co.jp

ざっくり感想

私は大人計画の文法上に乗っかる松尾スズキ氏の個性が大好きで、いや、でも松尾スズキ氏の個性が大人計画の文法になったのか、文法から松尾スズキ氏ができたのか、そのへんの細かいところはちょっと読み切れないのですけど、とにかく大人計画というサラダボウルが松尾スズキ氏の塩胡椒で最新なのに定番メニューみたいな顔して皿の上に乗っかってくるのが大好物なんです。

今回のニンゲン御破算は以前中村勘三郎丈で当て書きされたものの再演ですが、主役が阿部サダヲちゃんということもあって、より大人計画の文法を感じるお芝居だったんじゃないかなって思います。サモアリとかはえぎわの皆さんがいっぱいいたにも関わらず、めちゃくちゃ大人計画の味がした。

とにかく岡田将生くんが予想以上にはまってて、新感覚の魅力を放ってましたねぇ。岡田くん、もっと狂った役どんどんやってほしい。笑顔の素敵なバーサーカーみたいなの、激似合う。あのいい笑顔の向こう側の虚無をもっと見せてほしい。突き抜けた明るさは虚無と同義なんだなって、すごく思わせてくれる笑顔だと思います。

そうそう、ニンゲン御破算、舞台の使い方も好き。舞台セットを楽しむのもお芝居の醍醐味だし、映像作品との大きな違いを生むひとつの要素。空間という「間」も、時間という「間」も、好きーってなりました。虚実ないまぜの世界観をいい感じに演出する底力を感じます。

私けっこうコクーンの作りが好きなんですけど、コクーンという場をめいっぱい使ってる感じがしてウキウキしちゃいました。ニンゲン御破算は水場のある演出がすごく印象的なお芝居なので、これから見る人は水気たっぷりの現場を楽しんでほしいですね。大阪公演もチケットトライすればよかったなぁ。森ノ宮ピロティホールではセットに苦労したみたいなので、どんな感じにしあがったか観てみたーい! 

ざっくりまとめ

自分自身が久しぶりの大人計画だったので、ほっこりした気持ちで観てました。性に合うっていうか、落ち着く感じっていうか。最近は一年以上ずっと熱に浮かされたようなステアラ通いが続いていたので、今日はなんだか自分の観劇人生の原点に戻ってきたような気持ちになったんですよね。

はー、よかった。好きです。千穐楽も楽しみ。